福ちゃん流FCRセッティング
応用編
基本編でセッティングにチャレンジする気に
なったお友達達もそろそろ壁にブチ当たって泣いてる
ころではないでしょうか?そんな貴方に福ちゃんが
優しくテホドキ。独断と偏見に満ちた応用編をどうぞ。


スロー系の考え方
スロージェット、エアスクリュー、パイロットスクリーからなるスロー系はキャブレターの中にある
もう一つのキャブレターとも言える物です。
メイン系と切り離して考えるとして、スロージェットはスロー系を通る燃料の量を決め
エアスクリューはその燃料の量に見合った空気の量を調節します。パイロットスクリューは
そこで作られた混合気の総量を調節します。

スロージェットのセッティング
●ニードルストレート径を変更するとスロージェットも変更が必要になる場合がある。(逆もある)
●ベストなスロージェットはアイドリングが高くなる可能性が高い

●ベストなスロージェットはエアスクリューの調整位置が半回転から一回転半戻しの間に
収まることが多い。
●エアスクリューもニードルストレートを変更した場合には再調整が必要になる場合が多い。
●エアスクリューを調整するとそれに応じてパイロットスクリューの調整も必要になります。
以上のことを頭に置いておくと良いでしょう。
最もアイドリングが高くなるジェットなら少なくともその前後1番以内に
当たりが有るはずですがニードルのストレート径によって変化する可能性も
有るので注意が必要です。
 エアスクリューはワタシの場合1ステップを45度ごとにしています。が、もちろん更に細かく
調整してもかまいません。


エアスクリュー
エアスクリュー(以下AS)の効果範囲はアイドリング付近ですが、走行時にアクセル
全閉から開け始めた時のレスポンスに影響します。これは走る時の体感的な
パワー感に大きく影響しますし、コーナリング時のコントロール性にも多大な差が
現れます
非常に重要な部分なのでジックリ時間をかけて調整する価値は十分に
あると言えます。

 ASはスロージェット、ニードルストレートを変更した時には再調整が必要
なります。調整方法はアイドリングをASの効果開度に調整し、回転が高くなる
所へ合わせます。この時の効果開度とはパイロットスクリュー(以下PS)の効果範囲
より若干上の位置
と言う事で、AS効果範囲の下半分はPSで融通が利くからです。
あと、実走チェックするのも強くお勧めします。
調整はしっかりと暖機を行ってから行います。できれば峠でも走ってきた方が良いです。

●ASの調整は1ステップ45度ぐらいが良いでしょう。
●軽量なバイクなどはASの調整がシビアになってきます。
●PSの調整範囲はASの範囲の半分くらい被っています。ですからASを調整すると
当然PSの再調整が必要
になる場合があります。

最近のマイブームですが、スクリュー式は使わずあえて固定式のスローエアジェット
使っています。スクリュー式よりもフィーリングが良いです。
キャブの口径でだいたい番数が決まっているのでアホみたいに数をそろえなくて
良いので以外と楽です。(1番手の変更はエアスクリューの90度に相当)


パイロットスクリュー
エアスクリューと比べると影響はかなり低く、全閉辺りが守備範囲。
スロージェットとエアスクリューが有っていないと調整が効かないこともしばしば。
パイロットスクリューの開け過ぎるようなら濃いスロージェットに、閉め過ぎるなら
薄いスロージェットにとよく聞きますが、それはスロージェットに対してエアスクリューが
適正な場合のみです。 たとえばエア量が多すぎる場合はパイロットスクリューを
開けだけ通常の逆に薄くなる事も有り得ると言う事です。
スロージェットを変えたのにパイロットスクリューの調整が効かねーって時は
エアスクリューを見直すと良いでしょう。

スロージッェトとニードルストレート径
キャブのセッティングの要とも言えるのがこのスロージェットと
ニードルストレート径です。この二つのジェットはお互いの守備範囲が
大きく重なっているので相互に及ぼす影響が非常に大きくなっています。
具体的に言うと、スローで1ステップ濃くしてもストレートで1ステップ
薄くすればスロー域全体の空燃比変化は少なくなります。
ここが実はキャブセッティングの落とし穴なのです。
つまり、スローで薄いにもかかわらずストレートが濃いとソコソコ走れて
しまうということなのです。もちろん逆もあります。これをセッティングが
出ていると勘違いして走ってる人も多々見受けられます。
合ってない場合は定速巡行時に息ツキが出るはずです。

色分けしてるので何のジェットかは判断してね↓

スロットル開度に対する各ジェットの影響力の図
低開度ほどジェットの影響範囲が重なってきめ細かく調整ができる様に
なっている。ニードル段とメインジェット(黄色とオレンジ)の間は省略してあるけど
ニードルテーパー角の影響範囲で、この辺りは神経質に合わす必要が無いので
多少合わなくても放置する場合が多いです。
スロットル開度に対応するジェットの変化に注意
スロー系のセッティングが進んでくるとアイドリングが高くなってきます
そうなるとアイドル調整スクリューでアイドリングを下げるわけですが
その際、手元のスロットル開度は同じでも対応するジェットが変わっている事を
忘れてはいけません。アイドリング調整前はニードルストレートだった範囲が
スロージェットの領域に変わってる、なんて事もあるって事です。              
セッティング初期の状態ではニードルストレートの領域でアイドリングしてた、って
可能性もあるでしょう。

 セッティング、どこまでやるの?
メインジェットに関しては排気量が大きいほど割りとアバウトでも問題は出ません
しかし、低開度になるほどセッティングの許容範囲は狭くなります。
スロージェットに関しては1番手の違いで大きく性能を落としてしまいますので
濃い目薄目と言う味付けをする余裕はありません。ニードルストレート径も
だいたい似たように厳密なセッティングが必要です。
要はニードルクリップ以下は適正値から1番も外しちゃダメって事。           
二次エアシステム(エアーインジェクション)
上手くセッティングが出てるはずなのにスロットルオフで激しくアフターファィヤーが出る、
スロットルオフからオンにする瞬間に息つきを起こすなどの症状が出る場合は二次エア
システムの影響を疑ってみましょう。2001年以降のバイクには殆どの場合この装置が
導入されています。これはスロットルが閉じられた時に排気ポートに空気を送り有害ガスを
再燃焼させるための仕組みです。ノーマルのキャブやマフラーは悪影響が最小限になる様
うまくセッティングされていますが、それでも僅かながら影響は出ています。
シリンダヘッドカバーからバルブを介してエアクリーナーへと繋がる管がそれです。
クリーナーボックス内部又はの直下で塞いでしまえば簡単にキャンセルできます。
とにかくキャンセルしておかないとセッティングの判断が付かなくなります